固定残業制度が違法となる場合に気をつけましょう

固定残業制度が違法となる場合

固定時間労働制は、人件費の見通しが安定することで、将来の見通しが立てやすくなるなどメリットある制度です。また労働者側も、想定残業時間より早く仕事を終えても、みなし残業代がそのままもらえるということでメリットもあるものです。労働者側にとってのメリットですが、効率良く仕事をすればするほど得をする制度であって、みなし残業では、労働者が実際に働いたかどうかにかかわらず、あらかじめ一定時間の残業時間を見込んでみなし残業代が支払われるため、実際の残業時間が少なくても一定の残業代をもらうことができます。残業の増減によって毎月の給与額が大きく変動することもありません。

しかし、正しく運用すれば企業にも従業員にもメリットのあるみなし残業ですが、ときには正当な賃金が支払われていないなど、会社の運用方法によって違法になることがあります。みなし残業が違法になるケースについて、下記でご紹介いたします。

基本給が最低賃金未満である

現在の最低賃金は大阪では1000円を超えていて、東京では1070円くらいと毎年上がってきています。

求人票にみなし残業込みの基本給が記載されている場合、基本給とみなし残業手当の内訳を確認する必要があります。一見すると給与が高く見えるかもしれませんが、みなし残業代を除いた賃金がいくらなのかを確認することが大切です。もし、その金額が地域別最低賃金未満であれば、最低賃金法に抵触する恐れがあります。実際に固定残業いれて計算したら、大阪で1000円切っていたような場合ですとこれはだめですので、一度勤務先がある都道府県の地域別最低賃金と照らし合わせて、しっかり確認するようにしましょう。

みなし残業時間超過分の残業代が支払われない

実際の残業時間がみなし残業分を上回る場合、企業側は超過分の残業代を支払わなければなりません。支払い義務があるにもかかわらず、賃金を支払わないのはだめです。また、時間外労働や休日・深夜労働をした場合には、通常の賃金に上乗せして支払われる賃金=割増賃金が適用されますので、適正な残業代が支給されているかきちんと計算するようにしましょう。

みなし残業時間を超えて残業した分の賃金は、計算方法が難しいのですが、残業計算方法もなじんで起きましょう。

固定残業に関して、事前に適切な表示・説明がされていない

企業が固定残業を導入する際には、就業規則や雇用契約書、労働条件通知書といった書類に、固定残業時間と金額の内訳を記載する必要があります。また、2017年に職業安定法が改正され、みなし残業制度を導入している企業は求人票において、その内容を記載することが義務化されました。しかし、ごく一部の企業では、求人票に適切な説明がなかったり、就業規則に残業代を含めた基本給しか表記していなかったりするケースもあるため、不明点があれば入社前に採用担当者に聞いてみるようにしましょう。

固定制度を導入するためのポイント

就職してから固定残業の違法性に気づいた場合は、可能であれば、まず上司に相談しましょう。適正な賃金が支払われない残業は拒否できますが、そもそも上司も法外な残業かどうか理解していないまま、違法な固定残業が常態化しているかもしれません。

また、固定残業で残業代が支払われていない場合は、未払い分を会社に請求できます。これまでの給与明細や勤怠記録など、自身の労働時間を証明できる証拠を集め、勤務先に適正な残業代の支払いを求めましょう。勤務先との話し合いで解決に至らない場合は、それらの証拠を持って労働基準監督署に相談するのもいいでしょう。