採用担当者が「採用するのじゃなかった」と後悔する場合

かつて日本企業では、新卒で採用した社員(以下、プロパー社員)を長期にわたって雇用し、欠員が生じた場合に例外的・補完的に中途採用をする程度でした。しかし、終身雇用制がなくなり、一生1つの会社で勤めることが少なくなってきた現在、中途採用は当然多くなってきています。

近年は事業・組織を改革するための主戦力・即戦力として中途採用をするようになっています。採用人数も増え、年齢層も若年層から中高年層へと広がっています。中途採用社員は主戦力・即戦力としての期待が大きいだけに、「期待したほどではなかった」と後悔するケースもあるようです。

人事の責任者・担当者の7割が失敗を経験

大手・中堅企業の人事部門の責任者・担当者21人に、アンケート調査を行ったところ、中途採用で失敗したという経験がありますか」と尋ねた結果が下記のとおりです。
良くある:5名
たまにある:9名
ない:7名
「よくある」「たまにある」と回答した14名に、「採用して失敗した」と感じた中途採用社員の特徴を訊ねました。すると下記のような特徴がありました。

経歴詐称

中途採用では、応募者の前職での経歴を重視して採用します。ところが、ITやコンサルティングなど一部の業界では、経歴詐称あるいは経歴詐称スレスレというケースが多く、問題になっています。
学歴などは詐称できたりしますし、もう数十年も経過していると関係ないかと思うのですが、詐称は悪意ないとできないので解雇要件にも該当してきます。

転職癖がついている

転職で入社してきたということは、再び転職(退職)してしまうことがあります。これは致し方ないことですが、短期間で、些細な理由で辞められると、人事部門にとっては痛手です。
また一般的にも社会人暦5年で5社目、などになると、企業によっては控えるケースもありうることです。

順応しすぎる

中途採用社員が短期間で会社に溶け込み、順応してしまうというケースがあります。
そのため、プロパー社員中心の組織に新風を吹き込んでほしいという会社の期待を裏切ってしまいます。

出羽の守

中途採用社員には、プロパー社員にはないスキル・経験・マインドを持ち込んでくれることが期待されます。ただ、前職のことを持ち出すだけで、会社でそれをどう生かすといった姿勢がなく、プロパー社員に受け入れられないということがあります。前の会社ではこうでした、これが常識でした、と前職のことばかりが前面に出てしまって、自分自身が変わろうというマインドが弱い人がいます。

採用時に予測できない変化で退職

採用時には予測できなかった変化によって、中途採用社員が退職してしまったり、期待通りの活躍をしてもらえないということがあります。事業・組織を改革するためには、プロパー社員も中途採用社員もマインドを変え、お互いが知恵を出し合う必要があります。しかし、そういう良好な関係を構築し、実際に改革の成果を実現しているという企業は少ないようです。

どういった仕事に就いているのかというのもあるのですが、結局は人と人が一緒に仕事をするのだから、合う人もいれば合わない人もいるのが当たり前のことですし、話がかみ合わないなという場合でも顧客評判がよかったり、上司が厳しく指導もきついような場合には部下は仕事が辛く感じることもあるのですが、そういった上司に限って会社の存続が危ぶまれるような大きなトラブル時に率先炊飯して危機を乗り切ったり顧客と戦ったりするケースも多々あります。

難しい部分は多々あるのですが、せっかく新しい会社で頑張ると決めた以上は同じ目標に向かって業務に取り組みたいものです。