健康経営のメリット、デメリットとは

健康経営とは一体何なのか

企業にとって、労働力の確保や生産性向上が経営課題となっている中、健康経営に注目されています。実際に健康経営の導入を考えている経営者や人事・総務担当者の方も多いのではないでしょうか。ここでは、健康経営とは一体何なのか、導入方法、デメリットついて解説します。

健康経営とは

健康経営とは何か。
健康経営は、アメリカの臨床心理学者ロバート・ローゼン博士が1994年2月に著書「ヘルシー・カンパニー人的資源の活用とストレス管理」で提唱しました。
会社の経営と従業員の健康管理を同じモノと考えて理解し、従業員の健康が会社の業績向上につながるという考え方を言いました。
これまで、多くの企業経営は業績優先であり、従業員の健康が会社経営に欠かせない要素という認識はあまりありませんでした。この、健康経営の推進により「従業員が肉体的にも精神的にも健康でなければ、会社の発展も不健康になる」という考えが浸透しつつあります。

そして、経済産業省では下記のように健康経営を説明しています。
「健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」と言ってます。また、
「企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待される」とも言っています。

健康経営が注目される背景

労働力確保のために従業員の雇用延長等を積極的に実施したい状況にありながら、従業員の健康状態が悪化すると企業の生産性を低下させることになり、離職や優秀な人材の確保にも悪い影響を及ぼす可能性があります。

健康経営の導入により、従業員の心身ストレス軽減など労働災害が減少すれば疾病による欠勤なども減少し、業務効率の向上や医療費の削減が期待できることから、健康経営は国を挙げた取り組みへと発展しており、働き方改革推進の本丸に位置づけられています。

政府が取り組む健康経営制度について解説します。

健康経営優良法人制度

健康経営優良法人認定制度は、優良な健康経営を実践している大企業や中小企業などを顕彰する制度です。健康経営に取り組む優良法人を「見える化」します。2021年度は、大規模法人部門に1,801法人、中小規模法人部門に7,934法人が認定されています。

健康経営優良法人ホワイト500、健康経営銘柄など制度もあります。

健康経営のメリット

健康経営を導入すると期待できる効果についてです。

労働生産性の向上効果
従業員が、疾患を抱えながら仕事に取り組んだとしても、本来のパフォーマンスを発揮することは難しいと考えられます。会社を上げて健康経営に取り組み、従業員の健康管理を行うことで、より多くの従業員の健康状態が良くなります。健康な従業員が増えることで、社内に活気が出て仕事に取り組む姿勢も良くなり、労働生産性の向上効果が期待できます。

企業ブランドイメージの向上効果
健康経営を導入し必要な投資をおこなうことにより、健康経営優良法人に認められる可能性があります。健康経営優良法人に認定されることにより、従業員の健康維持や推進を経営的な視点で戦略的に取り組んでいる企業だと認められるのです。社会的評価を受けることができ、企業のブランドイメージの向上効果が得られるでしょう。
ブランドイメージが上がれば、求職者や取引先からの評価も高くなります。

医療費の削減効果
健康経営を導入することで、従業員の疾患や疾病率が下がり、医療費の軽減につながります。また、従業員の健康状態が心身ともに良くなることで欠勤率や長期休業者数の低下が期待できます。

健康経営のデメリット

効果検証のためのデータ収集が難しい
健康経営を導入して、投資した資金の効果検証をするためにはデータが必要です。データ収集は大変な作業となります。また、収集したデータの確からしさの検証や集計が難しい作業となることもデメリットです。

従業員が負担に感じる
健康経営を導入すれば、従業員が取り組む課題が増える可能性があります。従業員の中には、課題が増えることでストレスを感じる人もいるかもしれません。
従業員の負担が増え、ストレスを増加させてしまっては本末転倒です。